【小説】START編―超巨大迷路からの脱出―Escape from the Grand Maze

【小説】START編―超巨大迷路からの脱出―Escape from the Grand Maze
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みなさんこんにちは。

これは、

サムネイルEscape from the Grand Maze - 巨大迷路からの脱出更新履歴2017/04/19START編公開.2017/03/18PROLOGUEの漫画版公開2017/03/14公開開始.PROLOGUE公開.これは当サイトの管理者であるガノーが書いているオリジナルのウェブ小説/漫画です.ジャンルは異世界転送系のローファンタジーです.実験的にライトノベルをウェブのリッチな表現を ... 続きを読むganohr.net2017-04-19

の第二話目、「START編」です。

本作をはじめて読む方は、前話の

サムネイルPROLOGUE ― Escape from the Grand MazeこれはEscapefromtheGrandMaze-巨大迷路からの脱出のコンテンツ小説です. ... 続きを読むganohr.net2017-03-14

をさきにお読みください。

 

それでは、以降より第二話目、「START編」を開始します。

状況把握

 

数学教師の大山勇雄おおやま いさおと、高校2年生の田中晋たなか すすむ。二人は3方向を巨壁きょへきに囲まれた空間に捕らわれていた。

 

「先生‥‥。ここ‥‥、どこなんでしょうか」

 

田中の質問に、大山は辺りを見回しながら答える。

「分からん。日本‥‥なのかさえも」
「ええっ!?」

 

その空間がいったい何なのか、初めのうちは分からなかった。二人の視界には、壁しかないといっても過言では無い。天井てんじょうはなく、地面は砂利混じりの白土しろつち。想定されるのは‥‥。

 

「‥‥迷路?」 田中の呟きに、大山は安易に同意できなかった。

「‥‥しかし、この規模だぞ‥‥」

二人は改めて壁の端を見上げた。

 

「マンション一棟分はありそう‥‥って、今何時だっ!?」

田中は壁の端にうっすらと光りの線を見つけ、時間の存在を思いだした。左手の腕時計を見たところ、7時15分を指していた。

 

「先生、スマホ! 僕のスマホ返してください」
「あ、ああ。忘れていた。ほら」

 

田中は大山が鞄から取りだしたスマートフォンを、勢いよく取り返すと、それを操作し始めた。

「バッテリーはまだ半分以上残ってる‥‥」
「‥‥お前、やっぱりスマホ依存症なんだな」
「そんなことないで‥‥す」
「どうした?」
「‥‥圏外」
「圏外!?」

 

大山も自身の携帯を取りだして確認した。

 

「‥‥どうなってるんだ」
「‥‥でも、この高さの壁だったらたぶん」
「‥‥そう‥‥だな‥‥」

 

携帯電話でつかわれている「電波」は、四方を高くて厚い壁に囲まれていると、うまく送受信ができず圏外になる。

田中は位置情報を得るためにGPSも確認したが、同様に電波を取得できず、現在地を特定できなかった。

 

 

待機

それ以降、二人は目を覚ました最初の位置から動かなかった。

いや、そもそも移動する予定はないらしい。

なにより、急激な状況変化に遭遇した際は、やみくもに動いてはならない。確かな情報なしに行動することは、助かる可能性を捨てるに等しいからだ。これは、山や海で遭難した時も、ましてや今の状況でも同じである。

このまま二人は同じ場所に居続けるつもりだろう。

すでに、目を覚ましてから30分近く時間が経過した。

その間にも、太陽はじりじりとその高度をあげている。巨壁の影も、徐々に徐々にその長さを減らしていく。

 

 

静寂の崩壊

一切の音がない空間。

いや、二人のうちどちらかが体制を変えれば服がすれる音は聞こえるし、田中の腕時計は60BPMのリズムをつねに奏でていた。

そのふだんは気にならない、遅いリズムが耳障りになった。

こらえきれず、田中は持っているカバンに腕時計を仕舞おうとジッパーを開けた。

 

その瞬間だった。

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

なんだ!?

と、二人声をそろえて驚いた。

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

何度も、同じメロディーが繰り返される。

この音の発生源はっせいげんは、田中の左足のポケットにいれられた、スマートフォンだった。

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

田中は急いで取りだして、着信主ちゃくしんぬしを確認した。

そこには、見知らぬ番号が表示されていた。

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

いや、そもそもこんな長い電話番号はみたことがなかった。

そもそもの話――、

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

「先生‥‥、これビデオ通話です」

「ビデオ通話!? 誰から!?」

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

「それに‥‥みたこともない番号です。というかどかも」

「なんで!? そもそも圏外じゃないのか!?」

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

大山は自身の――二つ折りにされた――携帯電話を取りだして、それを開いて確認した。

「やっぱり圏外、だよな‥‥」

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

田中はうなずいた。

「先生、これ。出た方がいいんでしょうか‥‥」

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

「‥‥いや、しかし。不吉な予感しかしないんだが‥‥」

「‥‥でも、最初から不吉ですよね‥‥」

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

二人はおし黙った。

何度も何度も、同じメロディーが繰り返される。そのたびに、胸がつっかえていく。

 

――♪♬♫🎶🎵♩:::♪♬♫🎶🎵♩…

 

まるで上皿天秤の片側だけに、自分の心の一片を分銅にして乗せていくような感覚だった。

田中はスマートフォンのボリュームを、いや、電源そのものを切ろうと手を伸ばした。

 

――♪♬♫ピッ

 

不意に、不快音が止み、着信状態になった。

「えっ!?」と、田中は声を上げた。
「どうした!?」と、大山も声を上げた。

 

スマートフォンは、なぜか自動的に着信状態となった。
その二人の声に、スマートフォン越しの誰かが答えた。

 

 

ルール

「はいはいどうもどうも、みなさん、おはようございます」
「なんだ!?」

スマートフォンのテレビ電話には、黄色い目玉のお化けのような顔が映っていた。

 

「なんだなんだ、どうしたどうした、じゃないよみなさん。あ、ちょっと聞いてますかーー?」
「‥‥」

 

その目玉のお化けは、延々と一方的にしゃべり続ける。

 

「無視ですかーー、お怒りですかーー? おーいおーい。」
「‥‥」
「むしろ、とんで火にいる夏の虫な状況は、みなさんなんですよー。ぷくくく、僕ちんうまーい。」
「‥‥」
「まあまあ、まあまあ。あ、お母さんのことじゃないよー。ぷっくっくー。」
「‥‥」
「それになんなのーー!? いまだにガラケーの奴! 侵入できないし、まじダッサーイ!! あ、お酒の銘柄じゃないですよー。」
「‥‥」

 

「さーて、ここからが本題。みなさんは今、拉致被害者です。」
「拉致!?」

 

大山と田中は顔を見合わせた。

確かに、この状況は拉致だ。

「はいはい、はいはい。あ、赤ちゃんがやるやつじゃ、ないですよー。」
「‥‥」
「あ、もしかして『ウザいなこいつ』とか思ってない?」

 

「ああ」とつい漏らした大山を、田中はとっさにたしなめた。

「先生しっ!」と言われて、はっとした大山は口を手でふさいだ。しかしどうやら、おしゃべりな電話口の流ちょうな合成音声は、意に介していないようだ。

こりずに――いつになったら本題を言うんだと突っ込みたくなるほど――むだ話を続けている。

 

そしてようやく。

 

「‥‥というわけで、おほん。端的に言うなら、僕ちんはみなさんの命、握ってます。」
「命!?」
「はいはい。動揺しない、動揺しない。あ、歌うほうじゃないですよー。」
「‥‥」
「それにわかると思うけど、一晩の一瞬でみなさんを拉致できる僕ちん。命をとることも簡単なんです。」
「‥‥」
「そして、これはゲームです。」
「ゲーム!?」
「みなさんが今いるを攻略してください。」
「やっぱり迷路か‥‥」
「期限は明日の日没いっぱい。必ずでゴールしてください、命を賭して。」

 

そこまで言うと、スマートフォンは一方的に切れた。

 

「おい、ちょっと待て!」

大山は何度も呼びかけたが、応答はなかった。

「ちくしょう、なにがゲームだ。なにが命を賭してだ。」

大山はぶつぶつと文句を言っている。

それをよそに、田中は、冷静さを取り戻そうと努めた。

 

大山は田中の方から聞こえた――ピシャンという――音に、我に返り、その方向をみた。

その音は、田中が自身の両の頬をはたいた音だった。

 

そして「ふぅっ」と、大きく長いため息をすると、田中は大山に声をかけた。

「先生。ゴールを目指しましょう。」
「しかし‥‥」
「大丈夫ですよ、先生。が言うように、これがゲームだったら、必ずクリアできるはずです。なにより‥‥」
「なにより?」
「こんなオープニングのなんかに、僕は負けませんよ」

‥‥To be contenued.

https://ganohr.net/blog/prologue-escape-from-the-grand-maze/

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